マーケティング

マーケターが基本情報技術者試験に挑戦してみた

基本情報技術者

先日(といっても5ヶ月ほど前)、基本情報技術者試験を受験してきました。

「基本情報技術者試験ってエンジニア向けの資格じゃないの?」と思われる方が多いかもしれません。

日々マーケティング業務に携わっているマーケターが、なぜ基本情報技術者試験にチャレンジしようと思ったのか。そして、受けてみてどんなメリットがあると感じたのか、本記事でご紹介していきます。

なぜ基本情報技術者試験に挑戦したか

マーケターとして5年ほど働いている中、このような場面に出くわすことが多々ありました。

  • 訴求する商材がITサービスであるため、商材についてきちんと学ばないと何が推しポイントなのか理解できない(顧客が求めているものがわからない)
  • サービスを企画・開発している部隊との会話がチグハグしてしまう
  • マーケティングオートメーションツールを活用するにあたって、周辺システムとの連携を考慮する必要がある
  • Webサイトを活用したマーケティング活動を行う場合、Webチームに正しく依頼を出すことに時間を要する

要約すると、「顧客のニーズ把握」「社内コミュニケーション」の2点で課題を抱えていたと言えます。

「顧客のニーズ把握」は商材としている製品・サービスによって違いが出てきますが、「社内コミュニケーション」が滞ることはマーケターにとって致命傷です。

昨今デジタルマーケティングが浸透してきていることもあり、ほとんどの企業がWebサイトを活用したマーケティング活動を行っています。また、PardotやMarketoといったマーケティングオートメーションツール(MAツール)を導入している企業も増えてきています。

マーケターとしてレベルアップするため、ITとはなんたるかを学ぶ必要があると考え基本情報技術者試験に挑戦することにしました。

基本情報技術者試験とは

基本情報技術者試験とは、独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA)が実施している国家試験の1つです。ICTや情報処理分野を対象に12種類の「情報処理技術者試験」が定められており、基本情報技術者試験はITに関する基本的な知識や技能を有しているか問われるものとなっています。

試験区分
参考:IPAが公開している試験区分

これまでは年2回実施となっていましたが、2023年度より随時受験することが可能となります。

試験は科目Aと科目Bに分かれており、科目AではITに関連する幅広い分野から多肢選択式で60問出題され、科目Bでは任意の言語を選択してプログラミングを行う(回答は多肢選択式)ものもあります。

試験に関する詳細は、IPAが公開しているシラバスにてご確認ください。

マーケターが基本情報技術者試験に挑戦するメリット

試験概要に目を通してみると、「やっぱりこれってエンジニア向けのものじゃん」と思われるかもしれません。

ですが、マーケターがチャレンジするメリットは思っている以上に多いです。ここでは、実際に試験を受けてみて感じたメリットを3つご紹介していきます。

1.仕事の効率アップ

冒頭で述べた2つの課題「顧客のニーズ把握」「社内コミュニケーション」が、少しクリアになります。特に「社内コミュニケーション」については、メリットが顕著に表れています。

例えば、Webサイトを管轄しているチームのメンバーと会話する時に、これまでは曖昧な表現で依頼事項を伝えていたところ、共通の言葉を使って話せるようになりました。当たり前ですが、共通の言葉を使うことでコミュニケーションが円滑に進みます。

また、サービス開発をしているエンジニア部隊との距離も縮まります。エンジニア目線にたって考えてみると、「この人に話しても伝わらないんだよな」と思うような人とは、あまり会話したくないですよね。

基本情報というだけあってまだまだ知識としては不十分ですが、IT知識に関する土台が整うことで視野が広がり仕事を効率よく進められます。

2.今後身につけるべき知識の棚卸し

ITに関連する幅広い知識を学ぶことで、今後自身が学んでいくべき領域が明瞭になります。

例えば、日々の業務でMAツールに触れている方の場合を考えてみましょう。おそらくほとんどの方が、漠然とそのMAツールの使い方を学べばOKと考えているかと思います。しかし、それだけではあまり意味がありません。顧客情報を扱う以上、データベースやセキュリティ関連の知識を身につけておくことが必要です。

基本情報技術者試験の勉強を通して、ITに関連してどのような分野が存在しているか認識することができます。また、そこから自身に関連しそうな分野に目星をつけて、さらに踏み込んだ勉強に繋げることが可能です。

3.勉強の習慣化

いま振り返ってみると、ひょっとするとこれが1番のメリットだったと言えるかもしれません。

基本情報技術者試験に合格するために、初学者の場合は200時間ほど勉強する必要があると言われています。当然、前日に徹夜して詰め込めばOKというレベルではありません。

そうなると、日頃からちょっとずつ時間を捻出して勉強していく必要があります。日々の仕事に忙殺され仕事以外の時間は遊びに呆けていた自分は、恥ずかしながら全く勉強する習慣がありませんでした。

「せっかく挑戦するなら合格したい」と一念発起し、日々の生活を見直すことから試験勉強のスタートです。おかげさまで今となっては、通勤途中の時間や寝る前の時間などに少しずつ勉強する癖がついてきています。

これもひとえに、自分が得意ではない領域に挑戦したからこそ得られたメリットだと感じています。

試験の結果は?

2022年秋期の試験に挑戦し、結果は「合格」でした。

試験勉強方法や対策については、別の記事でまとめようと思います。

合格という結果はもちろんですが、その過程で新たな知識を得ることができたという点が一番の収穫です。

まとめ

一見、マーケターとは関係がなさそうに見える基本情報技術者試験ですが、挑戦することで得られるメリットはたくさんあります。

なにより、普段自分が接していない世界に触れることで頭が活性化する経験は、今後のキャリアに大いに生きてくるものになるでしょう。

ぜひ本記事に目を通していただいたマーケターのみなさんも、基本情報技術者試験にチャレンジしてみてください。

マーケティング検定2級を取得してみた

先日マーケティング検定2級を受験し、無事に合格しました。

今まさに受験に向けて勉強している方、受験してみようか悩んでいる方も多いのではと思い、体験談を書き記そうと思います。

本記事では、マーケティング検定2級を取得するための勉強方法やポイント、取得するメリットについてご紹介していきます。

なぜ取得しようと思ったのか

社会人になってマーケティング業務に関わること早5年。にも関わらず、恥ずかしながらマーケティング検定について知ったのはつい最近のことです。

マーケティング検定の存在を認知し、受験を決意するまでの流れはざっとこんな感じでした。

  1. 所属している会社にて「各自スキルアップのために勉強しましょう。費用は会社が負担します。」と案内が流れる
  2. エンジニア職種の社員たちが、資格取得のために書籍購入や外部研修を受講している姿を目の当たりにする
  3. 「あれ、マーケター向けのものって何かないのかな」と気になり調査開始
  4. 特定分野(例えばWebなど)についての資格は数多くあれど、マーケティング全般についての知識を問うてる資格は数少ないことを実感
  5. マーケティング全般について自分がどのくらいの力量なのか定量的に言えるものが欲しい」と思い、マーケティング検定の受験を決意

いま改めて振り返ってみると、「マーケティング全般について」というのがポイントでした。

マーケティング検定とは

内閣府認定「マーケティング検定」とは、公益社団法人日本マーケティング協会主催のマーケティング能力を測定するための試験です。試験方式として「CBT(Computer Based Testing)」を採用しており、都合の良い場所と時間を選んで、全国各地のテストセンターで受験することができます。

引用元:公益社団法人日本マーケティング協会ホームページ(https://www.jma2-jp.org/marken

マーケティング検定には、3つのレベルがあります。

3級2級1級
レベル基礎基礎概念から応用プロフェッショナル
受験条件誰でも可誰でも可2級試験の合格者
受験料(税込)6,600円9,460円14,850円
実施日程随時随時年1回
受験方法CBTCBTCBT

まず特徴として、CBT(Computer Based Testing)を採用している点が挙げられます。自身にとって都合の良い日時、都合の良い場所で受験することが可能です。

また、3級と2級は誰でも受験することができます。極論、マーケティング実務の経験がなくても問題ありません。

すでに業務を行っている人が力試しで受験するだけでなく、就活や転職に向けて自身の力量をアピールする根拠が欲しい場合にも活用できます。それなりにマーケティング業務をこなしてきたと自負していたので、私は3級を受験せずいきなり2級に挑戦しました。

受験料について上の表では一般の場合の金額を記載していますが、日本マーケティング教会会員社に所属している方や学生は割り引かれた金額で受験できます。詳しくは日本マーケティング協会のホームページをご覧ください。

マーケティング検定2級の試験概要

マーケティング検定2級は、下記に該当する方におすすめとされています。

  1. 社会で活躍するマーケターとして認定できる実力のある方。
  2. マーケティングの基礎概念から応用までの理解度・習熟度を測りたい。
  3. 2級の資格を取ることでマーケティング能力を証明し、キャリアアップにつなげたい。
引用元:公益社団法人日本マーケティング協会ホームページ(https://www.jma2-jp.org/marken/level2

試験概要は以下の通りです。すべて選択式の問題となっており、記述問題はありません。

問題数40問
試験時間90分
合否基準正答率70%以上

ここまでみる限りごく普通の検定試験といったところですが、特筆すべきは出題範囲です。冒頭でも触れた通り「マーケティング全般について」の知識を問われるため、全部で16の領域から出題されます。

  1. マーケティング・マネジメント
  2. マーケティング環境の分析
  3. 資源配分と製品ポートフォリオ管理
  4. マーケティング組織のデザイン
  5. 産業と競争の構造
  6. 消費者行動の分析
  7. 価格設定のデザイン
  8. 製品開発と顧客価値
  9. ブランド・マネジメント
  10. マーケティング・コミュニケーション
  11. サプライチェーン・マネジメント
  12. 顧客関係マネジメント
  13. サービス・マーケティング
  14. 生産財(B to B)マーケティング
  15. ソーシャル・マーケティング
  16. グローバル・マーケティング

マーケティング検定2級の勉強方法

出題範囲を見て「こんなにたくさんどうやって勉強すればいいの」と思われた方も多いはずです。

しかし、心配は不要です。公式問題集&解説が用意されているので、それをゲットして勉強を進めましょう。

マーケティング検定2級を取得するためのポイント3つ

公式問題集があることは分かっても、一番肝心なポイントはそれをどうやって活用するかですよね。

実際に受験してみて効果的だった活用方法を、3つのポイントに絞って解説していきます。

公式問題集の解説を読み込む

問題集を開いてみると、「問題→解説」という流れで構成されていることがわかります。

試験対策と聞くと、とにかく数多く問題をこなせばOKというイメージを持たれる方も多いかもしれません。

しかし、ことマーケティング検定においては、解説を読み込むことをオススメします。

理由は以下2つです。

  1. 問題集に載っている問題がそのまま試験に出ることは稀
  2. 単語や概念の意味をきちんと理解しておかないと解けない問題が多い

「この問題が出たら、答えはこれだな」とパターンで覚えるだけでは、到底歯が立ちません。試験の合格だけ目指すのではなく使える知識にするためにも、解説を何度も読み込んで自身の理解度を深めておきましょう。

実際に手を動かしてみる

解説文を読んでみて「よし、これは理解できた」と思っていても、試験本番になってみると「あれ、これってどういう意味だっけ」となることが多いかと思います。

特にマーケティング検定においては、マーケティング戦略を考える上で必要な手法やフレームワークについても多く触れられています。言葉だけで理解するのではなく実際に手を動かしてみて、自分自身がきちんと理解できているか確かめるようにしましょう。

例えば、下図のような価格競争への対応方法について学んだ場合、これを図として覚えるのではなく「なぜこのような手段をとるべきなのか」を理解し、架空の場面を想像して経営者になりきってみたりするとより記憶が定着します。

問題文をよく読む

公式問題集と実際の試験問題に共通して言えることは、問題文がとにかくいやらしいです。

いやらしいのは何故かというと、「正しいものはどれ」や「誤っているものはどれ」と聞いてくる問題が入り混じっているからです。

こればっかりは、問題文を落ち着いて読むこと以外に対策はないかと思いますが、公式問題集で慣れておきましょう。

マーケティング検定2級を取得するとできること

無事にマーケティング検定2級試験に合格した暁には、Advanced Marketerという称号を手にいれることになります。

実際に筆者も取得してみて体験したことをご紹介します。

オープンバッジの取得

先ほど触れた通り、マーケティング検定2級に合格するとAdvanced Marketerという称号を取得できます。

この称号はオープンバッジとして発行されるので、自身の名刺やSNS(LinkedInなど)に載せることが可能です。

就職活動や転職活動においてパッと見てわかる証になるので、嬉しい限りですね。

ただし、有効期限が発行から1年間と定められているので注意しましょう。

ちなみに、更新費用4,400円+1,100円(事務手数料)=5,500円を支払うことで、再受験の必要なくAdvanced Marketerとして再登録することができます。

資格者名簿へ掲載

日本マーケティング協会の公式ホームページに資格者名簿が公開されており、マーケティング検定2級もしくは1級に合格すると氏名が掲載されます。

2023年2月時点で、掲載されいる方は約200名います。

まだまだ数は多くないので、ここに名前が載ると少し誇らしい気持ちになります。

これも1つのモチベーションとして、試験勉強に取り組んでいきましょう。

まとめ

マーケティング検定は、まだまだ認知度が低い資格かもしれません。

しかし、マーケティングに携わっている方やこれから関わろうとしている方には、ぜひ挑戦してみて欲しいです。

その際は、本記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。